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日本小児科学会雑誌126巻9号 Page1276-86(2022.09)
■要旨
小児の死亡率低下に伴い,機能的予後や生活の質などのアウトカムが患者・家族にとって重大な関心事となり,患者・家族にとっての価値に基づく医療の質の向上が望まれている.医療の質とは,患者にとって望ましいアウトカムを医療が達成しうる度合いということができ,質の高い医療は,有効かつ安全で,患者中心的であるべきとされている.同時に,医療の社会的な価値を高めるために,医療システムは効率的でなければならない.医療の質を改善するには,医療の質の測定と評価を推進する必要がある.その過程で患者中心志向を見失わないためには,医療の質の評価に患者参加が求められる.患者による評価指標の例としては,患者報告アウトカム指標や患者報告経験指標があり,近年これらの指標の選択や開発にも患者参加が求められている.しかし,小児医療の中心はあくまで子どもであり,患者参加も子どもの権利の保護なしには達成できない.また,子どもを支援する家族も共に中心に据えるのが患者・家族中心のケアである.以上より,日本の小児医療の質改善のためには,子どもの権利を尊重し,医療現場で患者・家族参加,すなわち子どもと家族の医療への参加を促進することが必須である.小児医療においても,患者・家族参加は医療従事者・患者・家族の安全性や有効性に対する意識を高め,医療の質の向上につながると考えられる.
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